透湿度は、衣類やアウトドア用品などの性能を評価する際に使われている指標の1つです。透湿性が高いと、内部の湿気を逃しつつ外からの湿気を防ぐという特徴があります。
本記事では、透湿度の概要や透湿度の高さを活かした主な用途をご紹介します。また、よくある質問も解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
透湿度とは?
透湿度とは、衣類の「ムレにくさ」を示す大切な指標です。この数値が高いウェアは、着用中に発生する汗を効率的に外部へ放出し、蒸れを防ぎます。
具体的には、透湿度は1㎡の生地が24時間でどれだけの水蒸気を通過させるかを測定したもので、高い数値ほど内部で汗が水滴になるのを防ぎやすくなります。透湿性が高いウェアを選ぶと、アウトドアや雨の日でも快適です。
発汗量の目安
人が汗をかく量は、活動内容によって大きく異なります。安静時には1時間あたり約50g、軽い運動では約500g、激しい運動では約1,000gにもおよびます。このように、汗をかく量を考慮して透湿性の高い商品を選ばなければなりません。
目安として、蒸れにくさを実感するには5,000〜8,000g/㎡程度の透湿性が求められ、さらに快適さを追求するなら10,000〜20,000g/㎡以上がおすすめです。しかし、透湿性は使用や洗濯の繰り返しで徐々に劣化するため、定期的な買い替えや適切なメンテナンスが必要です。
透湿度の高さを活かした主な用途は3つ
次は、透湿度の高さを活かした主な用途について解説します。
- レインウェア
- 布団
- 作業現場のユニフォーム
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1.レインウェア
レインウェアは、雨天時に使用される衣類で、日常生活からアウトドア活動まで幅広い用途があります。登山やスキーなど、アウトドアでの使用を想定した製品は、防水性だけでなく、透湿性の高さが大切なポイントです。
また、身体を動かした際に、発生する汗を効率的に外に逃がす性能が求められます。さらに、長時間の雨でも快適に活動を続けられるよう、レインウェアは防水性と透湿性のバランスが欠かせません。
2.布団
睡眠中には、意外なほど多量の汗をかくため、寝具には透湿性が欠かせません。人は一晩で約200〜600ml、多い場合は1Lの汗をかく場合があり、水分を効率よく外へ逃がさないと寝苦しさや冷えの原因となります。
たとえば、合成繊維は柔らかく快適な肌触りを持ちますが、透湿性が低いため蒸れやすく、寝具内の湿度が高まりがちです。このため、快適な眠りを得るには、羽毛布団を下に敷き、その上から合成繊維の毛布をかけて、湿気をコントロールできるようにしましょう。
3.作業現場のユニフォーム
汗を多くかく作業現場で透湿性の高い作業着を選べば、蒸れが軽減でき、作業効率の維持が可能です。さらに、寒冷地での作業では、結露防止機能を備えた作業着が役立ちます。
この機能により、作業中に発生する水蒸気が衣服内で水滴に変わるのを防ぎ、常に快適なドライ状態を保てます。このように、作業現場は快適さと作業効率の向上を考慮した素材選びが大切です。
透湿度とはでよくある3つの質問
最後に、透湿度とはでよくある質問について紹介します。
- 質問1.透湿性と耐水圧の関係性は?
- 質問2.透湿性があるウェアは蒸れない?
- 質問3.透湿度や耐水性は劣化しない?
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
質問1.透湿性と耐水圧の関係性は?
耐水圧と透湿性は、衣類や装備の性能を考える際の大切な要素ですが、両者は相反する関係がある点が特徴です。耐水圧は水の侵入を防ぐ能力を示しており、生地の隙間を減らせば向上しますが、その分、透湿性は低下します。
一方、透湿性を高めるためには水分が通過しやすい隙間が必要で、これにより耐水圧は下がります。このため、両方の性能を兼ね備えた素材は開発コストが高くなる傾向です。本格的なアウトドア活動では、これらのバランスが取れた高機能素材が好まれますが、使用目的に応じた選択が大切です。
なお、防水加工と撥水加工の違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:防水加工と撥水加工の違いとは?メリット・デメリットや防水作業着を選ぶポイントをご紹介!
質問2.透湿性があるウェアは蒸れない?
透湿性があるレインウェアは、蒸れを軽減する機能を持つものの、「完全に蒸れない」という期待を持って購入するのは間違いです。透湿性の高い数値が記載されていたとしても、使用環境や運動量によっては汗をかき、蒸れを感じる場合があります。
とくに、防水性を重視したレインウェアは構造的に蒸気がこもりやすく、激しい動きを伴う使用では汗が内部に留まりやすくなります。このような特性を理解して、適切な着用方法や換気を工夫すれば、快適性の向上が可能です。
質問3.透湿度や耐水性は劣化しない?
製品に記載されている「耐水圧」や「透湿性」の数値は、新品時の性能を示しています。しかし、使用を重ねるうちに、摩擦や洗濯による劣化が徐々に起こり、これらの性能が低下しかねません。
また、使用頻度に関係なく、長期間放置すると経年劣化が進む場合もあります。このため、定期的にウェアの状態を確認して、性能が落ちてきたと感じたら早めの買い替えを検討してください。
まとめ
本記事では、透湿度の概要や透湿度の高さを活かした主な用途をご紹介しました。
透湿とは、1㎡の生地が24時間でどのくらい湿気を逃がす能力を持つかを表す指標です。高い数値ほど内部で汗が水滴になるのを防ぎやすくなります。透湿性が高いウェアを選ぶと、アウトドアや雨の日でも快適です。
また、人が汗をかく量は、安静時には1時間あたり約50g、軽い運動では約500g、激しい運動では約1,000gです。目安として、蒸れにくさを実感するには5,000〜8,000g/㎡程度の透湿性が求められ、さらに快適さを追求するなら10,000〜20,000g/㎡以上がおすすめです。
しかし、透湿性は使用や洗濯の繰り返しで徐々に劣化するため、定期的な買い替えや適切なメンテナンスが必要です。また、透湿度は、レインウェアや布団、作業現場のユニフォームなど、さまざまなシーンで活用されています。
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