夏の厳しい現場で欠かせない空調服ですが「最近、風が弱くなった気がする」「ファンのよごれが気になるけど、どう掃除すればいいか分からない」と感じていませんか。ファンに溜まったホコリや汚れは、涼しさの大敵です。
放置すると、風量が落ちるだけでなく、バッテリーの消耗が激しくなったり、故障の原因になったりする可能性もあります。
本記事では、そんなお悩みを解決するため、空調服のファンの基本的な掃除方法から、水洗い可能なモデルの正しい洗い方、掃除の際の注意点まで、分かりやすく解説します。正しいメンテナンスで、空調服の性能を最大限に引き出し、厳しい夏を快適に乗り切りましょう。



空調服のファンを掃除しない場合の主なリスクは3つ

空調服のファンは、使用するうちに目に見えないホコリやチリを大量に吸い込んでしまいます。この汚れを放置すると、快適性が損なわれるだけでなく、様々なトラブルを引き起こす可能性があるでしょう。
ここでは、ファンを掃除しない場合に起こりうる具体的な問題を3つ解説します。
1.風量の低下
ファンやフィルターにホコリが詰まると、空気の通り道が狭くなり、送風効率が著しく低下します。ある調査では、定期的な掃除をしないと風量が20〜30%も低下するというデータもあります。
せっかくの空調服も、風が弱まってしまっては本来の性能を発揮できません。特に粉塵の多い現場で作業する場合、汚れはさらに溜まりやすくなるため、体感できるほど涼しさが変わってきます。
2.バッテリーの消耗
ファンに汚れが溜まると、モーターに余計な負荷がかかります。モーターが正常に回転しようと、より多くの電力を消費するため、結果としてバッテリーの消耗が早まります。
いつもと同じ時間しか使っていないのに、バッテリーの減りが早いと感じる場合は、ファンの汚れが原因かもしれません。バッテリー自体の寿命を縮める原因にもなるため、注意が必要です。
3.故障の原因
ファン内部に蓄積したホコリやゴミは、モーターの回転を妨げ、異音や振動の原因となります。最悪の場合、モーターが焼き付いてしまい、ファンそのものが故障する可能性もあります。
また、プラグの接続部分に汚れが溜まると接触不良を起こし、電源が入らなくなるケースも考えられるでしょう。修理や買い替えには余計なコストがかかるため、日頃のメンテナンスが不可欠です。

空調服のファンの掃除に役立つ道具は4つ

空調服のファンの掃除にあたり、特別な道具はほとんど必要ありません。多くの場合は、ご家庭にあるもので十分対応が可能です。
ただし、ファンの種類や汚れの度合いによっては、特定のアイテムがあるとより効率的に作業を進められます。
ここでは、基本的な掃除で役立つ4つの道具をご紹介します。掃除を始める前に、これらの道具を準備しておきましょう。
1.柔らかい布
ファンのカバーや羽根の表面についたホコリや軽い汚れを拭き取るために、柔らかい布は必須アイテムです。特に、極細繊維でできたマイクロファイバークロスは、洗剤なしでも細かな汚れを効率的に絡め取るためおすすめです。
ファンはデリケートなプラスチック素材でできているため、傷つけないよう、必ず乾いた清潔な布を使用しましょう。水拭きをする場合は、電気系統の故障を防ぐため、布を固く絞って水分が滴らないようにすることが鉄則です。
仕上げに乾拭きをすれば、水垢の付着も防ぎ、きれいな状態を長持ちさせられます。掃除の基本となる道具なので、乾拭き用と水拭き用の2枚を用意しておくと便利です。
2.綿棒
ファンの保護カバーの網目や、羽根とモーターが接する溝など、布では届きにくい複雑な箇所の掃除には綿棒が役立ちます。乾いた状態で使うだけでも隙間のホコリを絡め取れますが、頑固な汚れには先端に薄めた中性洗剤を少量だけ染み込ませて使うと効果的です。
その際、液体が垂れてモーターや基盤部分にかからないよう、水分量は最小限に留めるのが重要なポイントです。綿棒の適度なしなりと小ささが、細かな部分に的確に力を加えて汚れを落とすのに最適です。
掃除のクオリティを格段に上げてくれるアイテムなので、ぜひ用意してください。
3. ブラシやエアダスター
ファン内部や羽根の裏側に固着したホコリには、ブラシやエアダスターが有効です。ブラシは、使い古しの歯ブラシなど毛先が柔らかいものを使い、内部のホコリを優しくかき出します。
一方、エアダスターは強力な空気でホコリを吹き飛ばすため、水洗いできないファンや、電気部品周辺の清掃に安全かつ最適です。直接触れずに掃除できるため、部品を傷つけるリスクがありません。
ただし、エアダスターは可燃性ガスを使用している製品が多いため、必ず火気のない風通しの良い場所で使用し、缶を逆さまにしないなど、製品の注意書きを必ず守ってください。
4.中性洗剤
汗や油分を含んだベタベタした汚れには、中性洗剤が効果的です。ファンに多用されるプラスチック部品は、アルカリ性や酸性の洗剤に弱く、ひび割れや変色の原因となり故障に繋がる可能性があります。
そのため、必ず食器用洗剤などの「中性」と表記されたものを選びましょう。使用する際は、水で薄めたものを布や綿棒に少量つけて優しく拭き取ります。
直接ファンにスプレーするのは厳禁です。洗浄後は、洗剤成分が残ると新たな汚れの原因になるため、きれいな水で固く絞った布でしっかり水拭きを行い、最後に乾拭きで仕上げましょう。

空調服のファンの掃除方法は4ステップ

空調服のファンは、正しい手順で行えば誰でも簡単に掃除できます。基本はホコリを物理的に取り除きます。
近年では水洗いに対応したモデルも増えていますが、まずは基本的な掃除方法をマスターしましょう。ここでは、ファンを取り外してから乾燥させるまでの一連の流れを、5つの具体的なステップに分けて詳しく解説します。
ステップ1.ファンとケーブルを取り外す
まず、バッテリーからケーブルを抜き、ウェアからファンユニットを取り外します。多くのモデルでは、ファンはリングで固定されており、少し回すか、ツメを押し込むと簡単に外せます。
この際、無理な力を加えるとツメが折れてしまう可能性があるため、必ず取扱説明書を確認しながら慎重に作業してください。ファン本体からケーブルも忘れずに抜いておきましょう。
ステップ2.大きなホコリを除去する
ファン全体に付着した大きなホコリやゴミを、ブラシや乾いた布を使って丁寧に取り除きます。特に外側のカバーや、羽根の表面に汚れが溜まりやすいため、念入りに行いましょう。
この段階で大まかな汚れを落としておくと、次の細かい部分の掃除がしやすくなります。エアダスターがある場合は、この時点で内部のホコリを軽く吹き飛ばすのも効果的です。
ステップ3.細かい部分の汚れ拭き取る
次に、綿棒や固く絞った布を使い、ファンの網目や羽根の隙間、モーター周りなどの細かい部分を掃除します。汚れが落ちにくい場合は、水で薄めた中性洗剤を綿棒の先に少量だけ付けて、優しくこすり落とします。
ただし、モーターや基盤などの電気部品には絶対に水分がかからないよう、細心の注意を払ってください。
ステップ4.完全な乾燥
掃除が終わったら、風通しの良い日陰でファンを完全に乾燥させます。特に水洗いした場合は、内部に水分が残っているとサビや故障、カビの原因になります。
タオルで水気を拭き取った後、最低でも24時間以上は自然乾燥させましょう。ドライヤーの熱風を当てるとプラスチックが変形する恐れがあるため、絶対に使用しないでください。
完全に乾いたのを確認してから、ウェアに装着します。

空調服のファンを掃除する際の注意点は3つ

空調服のファンは精密な電気部品が含まれているため、掃除方法を誤ると性能低下や故障に繋がる可能性があります。安全かつ効果的にメンテナンスを行うためには、いくつかの重要な注意点を守りましょう。
ここでは、ファンを長く使い続けるために、掃除の際に特に気をつけるべき3つのポイントを解説します。これらの注意点をしっかり頭に入れてから、作業を始めるようにしましょう。
1.モーターや基盤を濡らさない
最も重要な注意点は、モーターや基盤、ケーブルの接続端子といった電気系統の部品を絶対に濡らさない点です。たとえ水洗い可能なファンであっても、指定された防水キャップを正しく装着しなければなりません。
水洗い非対応のファンを掃除する際は、固く絞った布や綿棒を使用し、水分が内部に滴り落ちないよう十分に注意してください。万が一濡れてしまった場合は、ショートや腐食の原因となり大変危険です。
2.洗剤の種類と使用方法には注意する
汚れがひどい場合でも、シンナーやベンジン、アルコール、漂白剤などの有機溶剤や、強力なアルカリ性・酸性の洗剤は絶対に使用しないでください。これらの化学薬品は、ファンのプラスチック部分を劣化させ、ひび割れや変形の原因となります。
洗剤を使用する場合は、必ず食器用洗剤などの中性洗剤を水で薄めて使いましょう。洗浄後は洗剤成分が残らないよう、しっかりと水拭き(またはすすぎ)をしてください。
3.無理な分解はしない
ファンの内部まで徹底的にきれいにしたいと思っても、メーカーが想定していない範囲まで無理に分解するのは絶対にやめましょう。内部の配線を傷つけたり、部品を破損させたりするリスクが非常に高いです。
また、一度分解してしまうと、元に戻せなくなったり、メーカーの保証対象外になったりする可能性がほとんどです。掃除は、カバーやリングなど、取り外しが許可されている範囲に留めておきましょう。

空調服のファンをきれいに保つコツは2つ

ファンの性能を維持し、掃除の手間を少しでも減らすためには、日頃からのちょっとした工夫が効果的です。汚れがひどくなってから大掛かりな掃除をするのではなく、普段から汚れを溜めないように意識するのが、空調服を長持ちさせる秘訣です。
ここでは、誰でも簡単に実践できる、ファンをきれいに保つための2つのコツをご紹介します。
1.ファンフィルターの活用
多くのメーカーから、ファン専用のフィルターが販売されています。これをファンカバーに取り付けるだけで、ホコリやゴミがファン内部に侵入するのを大幅に防げます。
特に、鉄粉や砂塵が舞う建設現場や、草木を扱う農作業などで使用する際には非常に有効です。フィルターが汚れたら交換または清掃するだけなので、ファン本体の掃除頻度を格段に減らせます。
2.定期的なメンテナンス
汚れは蓄積すればするほど、落としにくくなります。理想的なのは、1~2週間に一度、あるいは「風量が落ちてきたな」と感じたタイミングで、簡単な掃除を行いましょう。
作業終わりにエアダスターでホコリを吹き飛ばしたり、乾いた布でさっと拭いたりするだけでも、きれいな状態を長く保てます。シーズンが終わり、長期間保管する前には、必ず一度きれいに掃除しておきましょう。

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空調服のファンの掃除でよくある3つの質問

ここでは、空調服のファンの掃除に関して、多くの方が抱く疑問についてお答えします。
質問1.ファンの掃除はどのくらいの頻度で行うべきですか?
使用環境や時間によって異なりますが、一般的には1〜2週間に1回が目安です。粉塵の多い現場で毎日使用する場合は、週に1回程度の掃除が推奨されます。そこまで汚れない環境でも、シーズン中は月に1回は状態を確認し、ホコリが溜まっていれば掃除しましょう。
特に、風が弱くなったと感じたら、それは掃除のサインです。
質問2.水洗いできないファンは、どのように掃除すればきれいになりますか?
水洗いができないファンは、まずブラシやエアダスターで内部のホコリを徹底的にかき出し、吹き飛ばします。その後、固く絞った布や、少量の薄めた中性洗剤をつけた綿棒で、羽根やカバーの細かい汚れを丁寧に拭き取ります。
電気部品に水分がかからないよう細心の注意を払い、最後に乾いた布で仕上げ拭きをしてください。
質問3.メーカーが違うファンやバッテリーを組み合わせても大丈夫?
基本的には、同じメーカーの純正品同士で組み合わせましょう。メーカーが異なると、電圧やプラグの形状が対応しておらず、正常に作動しないだけでなく、故障や発火などの重大な事故に繋がる危険性があります。
安全に使用するためにも、必ず指定された組み合わせの製品を使用してください。
なお、互換性のない空調服を着用する際の注意点については、こちらの記事でご紹介しています。
関連記事:互換性のない空調服を着用する際の注意点は3つ|バッテリーの寿命や注意点も徹底解説!

まとめ

空調服のファンは、定期的な掃除を行うと、購入時のような風量を維持し、バッテリーの持ちや製品寿命を延ばせます。掃除の基本は、ファンを取り外してブラシや布でホコリを落とすことです。
水洗い対応モデルの場合は、メーカーの指示に従い、防水キャップを正しく使用して洗浄しましょう。その際、モーター部分を濡らさない、中性洗剤以外は使わない、無理に分解しない、という3つの注意点を必ず守ってください。
また、ファンフィルターを活用したり、1〜2週間に一度の簡単なメンテナンスを習慣づけたりすると、掃除の手間を減らし、常に快適な状態を保てます。正しいお手入れをマスターして、空調服の性能を最大限に引き出し、厳しい季節を乗り切りましょう。
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